「邑久郡郷土読物」 出射久志編輯 昭和15.10.15 邑久郡教育国民科研究部 発行 国府村の巻 西大平山とその附近 国府の学校から東北を仰ぐと、西大平山(郡内最高峯327m)の峯続きが和気郡との境を区切って国府・鶴山の二ヶ村の北部を東西に走ってゐる姿を見ることが出来やう。 その東南方に延びた峯続きは、鶴山・裳掛の方に高く押しつめられて玉葛山脈をなし、西に走って玉津・本庄に至って中断するが、その西に分脈して屹立するのは桂山脈で、主峯桂山は学校の南の蒼穹に大きく聳えてゐる。 さて、西大平山は、郡中の最高峯で、邑久郡の北を区切る屏風であるが、この麓に磯上があり、伝説口碑に豊かな由緒の部落である。 (中略) ついでに話すが、この西大平山の頂上に「遠眼鏡」といふ名が残ってゐる。之は、昔、大阪堂島の米相場の状況をこの山頂から望遠鏡で眺め、之を西の四国・九州の方へ信号によって通報したのだといふことだ。山が高いのと千町が海であったことから割出された伝説であらうが、一顧の価値ある語り草である。 |